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いつまでたって

2013.06.12(Wed)

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も子供ねえ、って呟く知らないババアを蹴飛ばしたい衝動を抑えて部屋を出る。
何も覚えてないんだ、たすけてくれ。通りすがりの奴にすがってみようと考えたが、イカれてるやつだと思われるに決まってる。まず、俺はなんなんだ。部屋に戻ったら、あのババアが居たんだ。何もわからないんだ。
俺はあのババアの子供か何かなのか?ろくに上着を着ていないせいで身体が冷えてきた。手が震えている。
とりあえず、ここはどこなんだ。どこから来たんだ。帰らなければ。いや、帰り道がわからない。どうしよう。
どうすればいい。周りの奴らが皆俺を見ているような気がしてきた。見るな、やめろ。触るな。怖い。やめろ。なんで手錠なんかかけられているんだ?俺は、何をしたんだ。思い出せない。何も思い出せないんです。怖いよ。やめてよ、パパ。




やっと見つけましたよ。これで何回目ですかね。この子、治るんですか?
痴呆気味の婆さんと、24才の孫の二人暮らしの家では、問題がしょっちゅう起こる。
孫が病気かなんかで、記憶が何秒も保たないらしい。目覚める度に記憶がない恐怖から家から飛び出して町中をひたすら歩く。婆さんも婆さんで痴呆気味であるから、孫はまだ12才だと思っている。不幸な家族だ。
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あめ

2013.06.12(Wed)

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ぽつりぽつりと降ってくる雨なんて関係ない。ずっと突っ立っている。
なんども君の唇に触れて、身体を撫でて、無意味な事を繰り返した。
それでも、僕は忘れたくなくて突っ立っているんだ。
君が知らない誰かを愛していても、突っ立っているから。
ずっと、突っ立っているから。






震える指で手をかけた。

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六年前にしておこうか

2013.06.10(Mon)

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八月、真夏日、集合住宅、クーラーが壊れた。

ソファーで寝転びながらうちわで自分を扇ぐ。全身に風が行き渡るわけがなく、まったく涼しくない。
こうやって扇いでると、ちょっとだけねうちわもって浴衣着たってあれ本当拷問だからー。彼氏とはその後燃えたけど~、と言ってた同級生を思い出す。まあ神社の裏でセックスとかは辞めた方が良いと思う。なんか罰当たりそうだし。

熱に浮かされた頭ではくだらないことしか考えられない。応援する気もない野球少年番組を消し、冷蔵庫に向かう。おととい買ったサイダーを冷やしていたはずだ。氷を入れたグラスに、とくとくと炭酸飲料を注いで、シュワーといっているところを一気飲みしたい。火照った身体に染み渡るだろう。

そんな期待も一気に崩された。
冷蔵庫と目と鼻の先の、ダイニングテーブルを見た瞬間、犯人がわかったが、そいつは今家に居ない。
冷蔵庫に入れてある筈のサイダーがテーブルの上に置いてある。しかも蓋あけてある。
何にも言えないというのはこう言うことか…。とりあえず私は、サイダーに蓋をして冷蔵庫に戻した。

こんなことをやる奴は一人しか居ない。弟のケンゴだ。
あいつはサイダーが飲めないのだ。シュワシュワして喉いたい!とほざきやがるなよっちい男だ。そんななよっちいから甲子園にも行けんのだ。サイダーにシュワシュワがなかったら、ただの甘い水じゃねーか。
イライラするとさらに暑さが増すので、冷凍庫から氷を掴んで口の中へ放り込み、扇風機をセットしてもう一度テレビを付ける。私は心を無にしなければならない。


そういえば、私とケンゴの趣味趣向はまるで違う。双子だというのに、ただ身体の線が細いところだけ同じだ。
私は辛いものが好きで甘いものがあまり得意じゃない、あいつは辛いものがだめで甘いものが大好き。
この間マネージャーの女の子に貰ったとかいうアップルパイを頬張っていた。子供か。
そう思うと、あいつがへらへらへにゃへにゃしてることも疑問ではなくなってきたな。

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好きじゃないけど

2013.06.06(Thu)

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すっごく嫌い。君がそうやって僕の買ってきたお菓子を勝手に食べるところとか、僕の録画してたデータ勝手に消しちゃうところとか、置いといた本を古本屋に持ってちゃうとことか全部嫌いだよ。

1番嫌なとこ?そんなこと言わなくてもわかるだろ?
何も言わないで居なくなっちゃったとこだよ。



恋愛の甘酸っぱい気持ちを味わうには年が行き過ぎてたんです。
私が何をしても、あの人はしょうがないなあって顔で笑って、いつも許してくれるんです。
会いたいなあ…、いや、もうどうやったって会えないんですけどね。ふふ。


きっとあんな人だから、すぐに素敵な人が現れますよ。
好きだったなあ。どうしたって逃げて来ちゃったんだろう…
でもね、名前も顔も思い出せないの。

……あれ、私今何を話してたんですっけ?

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